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実例からみる吃音の在宅練習の方法

吃音
この記事は約5分で読めます。

 きっと吃音で悩んでいる人に「あなたは今、吃音を治すためにどんな練習をしていますか?」と聞いても、明確な答えは返ってこないでしょう。

 僕も吃音で悩んでいましたが、周りの人からは「落ち着いて話してね」「リラックスして」のような声かけをされたくらいの記憶しかありません。

 もし、エビデンスのある練習方法があれば僕なら「今すぐやってみたい!」と思います。吃音に関する論文の1つに具体的な在宅の練習方法が紹介されていたのでシェアをしますね。

症例ありの具体的な訓練方法

先ほど紹介した具体的な訓練方法の書いた論文はこちら

 論文を読めば全部書いてるのでOKです。でも、読んでも少し難しいと感じるかもしれないので、僕が少し内容をかみ砕いて解説していきます。

 この論文の要約を見ると、全体像が見えてきやすいと思うので、まずはその文章を引用します。

幼児期から吃音がある成人吃音1例を対象に、月1回の言語聴覚士による訓練と、合成音声を用いた在宅訓練を1年間行った。在宅訓練は、週3~4回、1回当たり30~40分で、在宅訓練の内容および発話速度は言語聴覚士が注意深く決定した。発話速度は段階的に4.6モーラ/秒→5.0モーラ/秒→5.4モーラ/秒とした。また、同時期に吃音の状態に関する心理面の評価を行った。その結果、吃音症と心理面に一定の改善が認められ、在宅訓練が言語聴覚士による訓練を補う重要な役割を果たしうることが示唆された。

引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjlp/56/3/56_236/_pdf/-char/ja

※(モーラ/秒)は(単語/秒)と言い換えるとわかりやすいです。 

要約をまとめると…

  • 月1回の言語聴覚士との訓練+週3~4回の在宅訓練
  • 期間は1年間
  • 在宅訓練は合成音声を用いたもの
  • 発話速度が(4.6モーラ/秒→5.4モーラ/秒)改善した
  • 吃音症と心理面に改善が見られた。

次に、訓練の内容を見ていきましょう。

訓練の具体的な内容

● 言語聴覚士との訓練の内容

発話全体の速度をゆっくりにして、音読課題を音、音節、単語、文と段階的に実施。また、吃音が起こる時の状態を言語化させて吃音者が自分の状態を把握できるようにした。

● 在宅訓練の内容

1日の30分程度、合計197回の在宅訓練を実施。

斉読、追読、復唱、斉読(減衰読み)、読み上げなしの一人音読の順に行った。また、発話速度4.6モーラ/秒から初めて言語聴覚士の判断の元で段階的に速度をあげていきました。

● この実験に参加した人はどんな特徴をもってるか?

症例:右利き、20代、男性、会社員、高校卒、独身、一人暮らし

主訴:吃らないで話したい。社会人になり、職場で会議資料を音読する場面や電話の対応の吃音症状を上司から指摘されることが多くなり、辛い

発吃:4~5歳(小学1年生で吃音を自覚)

家族歴:家族に吃音者はなし

相談歴:6歳頃療育機関を受診したが、「ことばが出ているから、そのうち治る、大人になると治る。」と言われた。

言語症状:ブロック(難性)、音・音節の繰り返し、語の繰り返しの順で高度に認められた。最大頻度が質問応答課題で114%、最小頻度は文章音読課題で42%。フリートークは54%。平均発生率は78%で重症度は吃音頻度ランク5。

※吃音頻度は7段階中の5(2文節に1回以上の吃音頻度)

1年間の訓練の結果

1日目376日目の状態を比較

  • 吃音頻度は 78%→17% に減少
  • 質問応答 114%→17% に減少
  • フリートーク 54%→9% に減少
実験をみた僕の個人的な考察

 論文の内容を中心に書いていったので、ほとんど説明ばっかりになってしまいましたね。僕がこの論文を読んで思ったこと考察をしてみます。

 まず第一に、「成果がすごいな!」っていう印象です。

 数字で見ると「どの程度なんだ?」って思うかもしれないですが、論文に書いてあったのは、非吃音者と同じくらいのレベルになったということです。吃音者が目標とする「吃音が治った」レベルになったように思います。

 なので、「吃音は治らない」「具体的な改善策が確立されていない」という状況においてはかなり希望がもてる内容だったと感じてます。

 再現性に関しては、ちょっとわからない部分が多いですが、例えば、言語聴覚士に相談すると、すべての言語聴覚士がこのような対策を提案してくれるのかなどが気になるところです。

 言語聴覚士が指示・管理をして、在宅訓練で練習するという印象でした。また、論文にもありましたが、人が話した録音音声の方が効果的だが、今回のように合成音声でも成果がでたということは、この実験内容をマネして誰にもバレずに改善できる可能性があるのでは?と感じました。

 合成音声であれば、現在のスマホアプリで取得することができます。画像認識のアプリと同時に使うことができれば、事前に決まっている文章の発表音読の練習にも使える可能性は高いです。

 一番のネックは期間が1年間で少し長いなと感じるかもしれません。ですが、この記事では、1日目と376日目だけの比較しか載せていませんが、論文には1日目、141日目、376日目の3回検査があり、1日目→141日目の変化も吃音頻度で78%→約39%に変化しています。

 この結果から、141日間(約5か月弱)でもある程度の改善は期待できることがわかります。きっと心理的にも吃音が改善できている実感がもてれば、訓練を続けることが苦痛ではなくなっていくと考えらます。

 「訓練すれば改善が期待できる!」という自信をつけるにもいい論文だったな!思っています。

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