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二重課題を与えると吃音は軽減する

吃音
この記事は約4分で読めます。

 吃音症状が出にくくなる、悪化するというのはある程度の法則があります。具体的なものであれば、

  • 吃音が改善する時
  • 歌を歌う
  • 独り言の時
  • 吃音が悪化する時
  • 人前での発表
  • 電話で話す時

 こんな感じで例をあげることができます。この共通点は「発話への意識」です。発話への意識が大きいと吃音が大きくなり、発話への意識が小さくなると吃音が出にくくなったり、全くでなくなったりします。

 発話への意識を減らすということを「二重課題を与える」とも言います。つまり、「発話+○○」と同時に2つのことをすると吃音がでにくくなります。

 今回、紹介するのは「二重課題で吃音が減少する」という研究です。参考にした論文はこちら

吃音が二重課題で軽減する実験
実験方法

 成人吃音者 30 名(男性 24 名、女性 6 名、平均年齢 27.5 歳)を対象に、RST(リーディングスパンテスト)文章を音読する課題を実施した。

 両課題遂行時の吃音頻度を分析した。実験参加者間の音読中の吃音頻度にばらつきがあったため、5%以上の9名を高吃頻度群、5%未満の21名を低吃頻度群に分類した。RST得点の求め方は、全試行中(70 文)に正しく報告できた単語の総数を算出した。

※RST(リーディングスパンテスト):短文を口頭で音読しながら、文中に指定された単語を覚えていく二重課題である。

実験結果

1,音読の平均吃音頻度は、高吃頻度群:12.26%、低吃頻度群:1.66%、RST の平均吃音頻度は、高吃頻度群:8.56%、低吃頻度群:0.80%であった。両群ともに、音読よりもRSTの吃音頻度が有意に低かった

2.高吃頻度群の RST 平均得点は 44.9 点であり、低吃頻度群では 41.6 であった(有意
差なし)。

3.RST 中の吃音頻度と RST 得点間の相関係数を求めたところ、高吃頻度群では有意な正の相関が見られたが(r = 0.79)、低吃頻度群では相関がなかった

4.文章音読中の吃音頻度と RST 得点間では、両群とも有意な相関がみられなかった

 この実験からも、吃音が大きくなる状況というのは、発話に意識が大きい時になりやすい傾向があることがわかる。逆に、二重課題(今回の実験では「発話」と「暗記」)を与えられと発話以外に注意がいくので、発話に意識が向かずに結果的に吃音が軽減する。

吃音者が優秀だと言われる2つの理由

 よく「吃音者は優秀である」と言われることがあります。事実として、どうなのかはわかりません。でも、吃音に悩む人であれば一度は聞いたことがあるんじゃないですか?

 僕が吃音について深く知っていくとその理由が2つあるように思います。その2つがこちら

  •  吃音者が優秀だと言われる理由
  • ① 幼児期における吃音の発症の原因によるもの
  • ② ワーキングメモリの容量が大きいこと

 それぞれ解説していきますね、

① 幼児期における吃音の発症の原因によるもの

 幼児期に吃音は発症しやすいと言われています。その理由としては、「思考能力」「言語能力」の発達のスピードのズレが原因になります。

 思考能力の方が発達スピードが速く、言語能力がそれにおいついていないことで、上手く話せないという状況です。多くの場合で、吃音が小さい時にあったけど、大きくなる過程で自然治癒するというのは言語能力が発達してきたからだと言われています。

 つまり、思考能力の発達スピードが速く「優秀」であると言われていた可能性が1つ目にあなります。

② ワーキングメモリの容量が大きいこと

 まず、「ワーキングメモリ」という言葉を説明しないといけませんね。

ワーキングメモリとは、日常生活のあらゆる場面で行動の目標や計画を記憶しておくために重要な脳の働きのこと。発達心理学では、ある情報を短い時間に心の中に保持しながら、同時に処理する能力のことを言います

 ワーキングメモリは一時的な記憶それを処理するような機能があります。このワーキングメモリの容量が大きい人ほど優秀だと言われたりします。

 よく頭の回転が速いと言われたり、同時にいくつものことができる、とかっていうものワーキングメモリの容量が関係しています。

 吃音の症状が大きい人ほどこのワーキングメモリの容量が大きい可能性があります。上の実験において「高吃音者ほどRST得点が高い」という結果になっています。

 通常であれば「記憶」と「発話」の二重課題をすると、ワーキングメモリが大量に使われるので、発話への注意が減り、吃音が軽減します。しかし、RSTが高得点であるということは、「記憶」もしてもワーキングメモリの容量が余っているので、「発話」への注意もそのまま残っているという状況なのです。

 つまり、吃音が強い人はワーキングメモリの容量が大きく優秀であると判断されるのではないかと推測しています。

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