ある日「自分は吃音だ」と認識すると、話すことに自信がなくなってきます。友達に真似をされたり、笑われる、ひどい時にはいじめられるかもしれません。
こんな辛い体験が積み重なると人付き合いを避ける選択をしがちになります。僕にも似たような経験があって、元々は学校の行事ごとの○○係とか○○委員には積極的に立候補していた記憶があります。でも、中学・高校になるにつれて「目立ちたくない」という思うことが多くなってきました。
人付き合いが減ってくると、それに伴い口数も減ってしまう傾向にあります。でも、結果として、吃音があったとしても話す回数は減らさない方がいいです。
僕は吃音を強く意識するほど、人付き合いも減って、口数も減ってしまいました。でも、たくさん調べたり、知識をつけていくと、「逆に話す回数を増やした方がいい」という考えになりました。その理由を解説します。
この2つから「吃音者でもたくさん話すべき」という結論になりました。それぞれを詳しく解説します。
吃音の適用効果というのは、「同じ文章を何回も読むと吃音が軽減していく」といいものです。この実験は、アメリカのアートフランクらによって確かめられた研究です。
15名という限られた数の吃音者の平均ですが、「6回朗読した後は、初めて朗読をした時と比べて吃音頻度は約50%も減っていた」というものです。
1回目の吃音頻度が約58%
2回目の吃音頻度が約46%
3回目の吃音頻度が約40%
4回目の吃音頻度が約35%
5回目の吃音頻度が約33%
6回目の吃音頻度が約31%
吃音の発症時期として、幼稚園や小学校に入学して間もないタイミングが多いというのは、これが理由である可能性があります。新しい環境になったり、新しい言葉がたくさんでてくると、その言葉で詰まってしまう。
これがきっかけで「言葉がでてこない」という経験が複数回あると、次に同じ言葉がでてきた時にも「あ、言葉ででないかも…」という予期不安が起こり症状が悪化しがちになります。
また、逆に昔は言いづらかった言葉だけど、練習を繰り返したりすることで、「詰まらずに話せる」という自信がついてくると予期不安が解消されて、詰まらずに言える言葉が増えてきます。
この吃音の適応効果が「吃音者でもたくさん話をするべき」理由の1つ目になります。
吃音者にはある一定に自然経過の形があります。
保育園や幼稚園の2~5歳くらいで吃音の症状が現れ、小学校・中学校と進んでいくと語彙力と増えることで「ありがとう」を「サンキュー」という言い換えたり、「ありがとう」と「どうも、ありがとう」のよう助走をつけることで吃音を隠すようになります。
他にも、新しい環境になると普段あまり言い慣れていない言葉が増えるので吃音の症状が強く出がちになります。学校が変わったり、学生から社会人になったりするタイミングで、吃音が強くでやすくなるといえます。
また、吃音は大きく3つの段階があり、「あ、あ、ありがとう」のような連発、「あーーーーりがとう」のような伸発、「・・・ありがとう」のような難発の3つです。
多くの場合は、始めは「連発・伸発」から始まり、後から「難発」の症状もでてくるという傾向があります。
新しい環境に入ると、良い慣れていない言葉や緊張も重なり、吃音の症状がひどくなる傾向があります。でも逆に、その環境に慣れてくると症状は軽減してきます。
また、吃音の人口は100人に1人と言われていますが、子供に限っていうならば20人に1人の割合と大人よりも多い割合で吃音がでてきます。
子供の時には言いづらかった言葉が大人になるにつれ言えるようになり、そのまま「吃音治った」ということも多くあります。
さらに、年齢とともに吃音の症状が治るというのは子供に限らず、30歳、50歳と年齢を重ねるほどに吃音は改善する人が多いという傾向があります。
これは職場などの環境への慣れもありますが、吃音がある人特有の特定の言葉が言いづらいという問題(例えば「サ行」が言えないとか)も発語の回数が増えることで成功体験が増えて予期不安が減少し、吃音が改善されるというケースも割と多くあるようです。
これが、2つの目の理由になります。
先ほど解説した
この2つからわかることは、たくさん話すことで話すことへの慣れや「今まで言いづらかったけど、スラスラ言える」という成功体験を積むことができます。
スラスラ話せる自信がつけば、「あ、どもるかも・・・」という予期不安が解消され「吃音」が解消されていきます。