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学齢期(6~15歳)における吃音の対応

吃音
この記事は約5分で読めます。

 「吃音が原因でいじめにあうのではないか?」子供を心配する親ならこんな風に悩む人もいるでしょう。

 まさに、6~15歳という学齢期というのは幼児期よりも、子供自身も記憶がしっかりあり、周りの友達も言語能力が発達してきます。大勢と違う話し方である吃音があると、指摘をされたり、真似をされたりああ傷つくことが増えてきます。

 幼児期では、思考能力と言語能力のずれが原因であると考えられていますが、この年齢によると違う原因であるという考え方が一般的です。

 今回の記事はこちらの論文を参考にして、僕自身の経験もあわせて解説しています。

学齢期の吃音者の状態

 この時期の吃音の特徴として

  • 独り言では吃らなくなる
  • 人前での発表や朗読で吃りやすくなる
  • 名前や自己紹介が言いづらい

 また、この時期に随伴症状が起こると言われています。

 随伴症状とは体をくねらせたり手をバタバタさせたりして、言葉を出そうをする仕草です。

 言葉が言いづらい状態でたまたま体の反動によって、スムーズに言葉が出てきた時に、条件付けとして「この動作をすれば言葉がでる」とインプットされることで随伴症状が起こります。

 通常は、発音運動が自動化することでスムーズに発話ができます。しかし、吃音に悩む子供は会話での発話運動が自動化されていません。

 独り言では、吃らないという点から、発話運動の自動化ができないというわけではなく、発話に意識をして制御しようと試みることで逆に非流暢な話し方、つまり、吃音があらわれるということです。

 ここで間違いやすいのは、「吃音が起こること=コントロールができていない。」と思い、より強い意識でコントロールしないといけないと努力すると、さらに流暢性が損なわれます。

この年齢の時に注意すべきこと

 この年齢になると、人前での発表で恥をかいたり、友達に笑われることで「話すこと」の回数を避けて、吃音を隠すようになります。

 吃音に関して、主に2つの条件応答が関係していると言われています。

  • 古典的条件付け
  • オペラント条件付け

この2つです。それぞれを簡単に説明すると、

■ 古典的条件付け

 この古典的条件付けで有名なのが「パブロフの犬」です。パブロフの犬は赤いランプが光ると餌がもらえるということを繰り返すことで「赤いランプが光る=餌がもらえる」という条件づけを行いました。

 すると、赤いランプが光るだけで餌を与えていないので、犬は餌がもらえると思ってよだれを垂らす。みたいな話です。

 吃音の子供の場合でも、人前で話す経験の時に笑われたり、恥をかくという経験をすることで「人前で話す=恥をかく」とインプットされて、発表・電話といった過去に失敗した場面になると、緊張や震えといった本来、吃音とは関係ない二次的な反応を起こしてしまいます。

 もう一つはオペラント条件づけで、吃音によって話すことをさけてしまいます。

 本来は上手く話せた「流暢性」と上手く話せなかった「非流暢性」が混在している状況なのにもかかわらず、普段の会話が減ることで「流暢性」が減少して、相対的に「非流暢性」が大きくなります。

 こうなると、いわゆる「負のスパイラル」が起こり、どんどん吃音が悪化して、対人関係に億劫になってしまうことがわかっています。

学齢期の治療法

 この学齢期の治療法としては以下の方法が考えられます。参考にした論文には下にあげたもの以外もあったのですが、難しそうなものを省いています。全部知りたい人はこちらから。

  • 環境調整、いじめ・からかいへの対策
  • 斉読・シャドーイング
  • 自己効力感の維持・増強

 それぞれ、もう少し詳しく解説します。

■ 環境調整、いじめ・からかいへの対策

 参考にした論文の言葉をそのまま参考にすると、

吃ってもせかさずに最後まで聞き,吃るかどうかより,発話内容を重視するなどの態度を周囲が示す必要がある。朗読が苦手な場合は,授業では複数人で斉読するなどで困難が軽減されることがある(本人の希望に従う)。

のようにあるのですが、個人的になかなか学校の環境調整をすることは難しいように感じます。

 個人的には、学校でできる範囲であれば、仲の良い友達に「自分は吃音である」ということカミングアウトすることで、理解してくれる可能性は高いです。そうすることで友達と話す時に、もし、吃っても理解してくれてると安心できて、発話への積極性が失われにくくなります。

■ 斉読・シャドーイング

 これはどちらも自宅での訓練になります。

 斉読とは二人読みのことで、例えば、子供とお母さんが一緒に本読みの練習をするといったものです。文の初めは指導者と一緒に読むが、だんだんフェードアウトして、一人読みに移っていく方法が望ましいです。

 シャドーイングは、誰かの後を1~2語遅れて文書を読むというものです。音声の素材はテレビやラジオのニュースなどでもOKです。

■ 自己効力感の維持・増強

 発話が困難である状態は自己効力感が低下していることが多いです。幼児期であれば、5~10%程度の割合なので、周りにも同じ悩みを持つ人がいたかもしれません。しかし、学齢期になるとその割合は1%となり、一気に下がり孤立感を感じます。

 自己イメージを変えるために、ポジティブになる他の吃音者との交流や子供の得意分野を伸ばす。などが有効です。

個人的な考察

 学齢期に入ると、幼児期を違い自然治癒の期待はかなり小さくなります。そのため、吃音治療を積極的に行うことが大事です。

 この時期は多感な年齢なので、その後の性格や人格にも大きな影響も考えられます。

 僕も個人的にこのくらいに年齢の時に一気に消極的になったいった記憶があります。当時は、吃音治療に関する知識も少なくても「何をしたらいいかわからない」という状況でした。

 もし、あなたの子供が吃音に悩んでいるのであれば早めに吃音治療を行うことをオススメします。

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