「吃音」の中でも、なかなか言葉がでない現象を「難発」「ブロック」といいます。
個人的に、「吃音」は心の問題であると考えていますが、体には全く原因がないのかというと、そんなことはありません。心が原因ですが、それにより体へ緊張が伝わり、発語に関係する筋肉が制御できなくなります。
その結果、話そうという意識があるのにも関わらず、意図しているように上手く話すことができなくなると考えています。
今回は、「難発」「ブロック」を運動制御の面でコントロールするという事例を紹介します。極端なことをいえば、めちゃくちゃ緊張しても、体をうまく制御できれば、自分の意図した発語を行うことができます。
今回の参考にした論文はこちらになります。
「ブロック」「言葉」がでない現象を物理的に観察してみるとどうなるのか?ブロックは以下の状態の時に起こります。
『肺から呼気の供給』<『音声生産のための閉鎖の力』
になれば、「ブロック」が起こります。上の方程式をもっとわかりやすく説明すると、「話す時の空気が何かで流れがとまった時にブロックが起こる」ってことです。
肺から送られた空気が口までスムーズに流れていれば「ブロック」は起こりません。同じ吃音でも、同じ言葉を繰り返す「連発」や言葉を伸ばす「伸発」は、発声はできているので、空気自体は流れている。と判断できます。
ブロックをわけると次の種類にわけることができます。
今回、参考にした論文ではそれぞれのブロックに対して下のような対策をとっている。
呼気ブロックには、呼気の流れを一定にして保ち、文意を考えて適当な箇所まで息つ ぎをしないようにする。
これによって、音声産生のエネルギー源である呼気流(圧)を常時一定量供給できるようにする。具体的には、音節を引き伸ばしながら音節間のわたりを円滑にする。このときメトロノームを導入して発話のテンポを一定にすることによって、呼気流調節の習得を容易にする。
発声ブロックには、ささやき声で話すことによって声門閉鎖を不完全にしたり(喉頭レベ ルの運動を単純化する)。無声から有声音に移行する際の硬起声による強すぎる声門閉鎖を解消するために、有声音だけの文章を読む練習をする。
構音ブロックに対してはとくに口唇や舌で閉鎖を作ることによって調音を行なう破裂 音の閉鎖を弱くするようにする。
各ブロックを箇条書きにして整理します。
「難発・ブロック」をさらに細かくわけるということが非常に新しいものだと感じました。原因を細かく知ることで、その対策の精度も高くすることが可能になりそうです。
しかし、疑問点としてはブロックの解除方法としては『意識する』という部分に大きく頼っているように思う。なので、訓練中は意識できるが、実生活での場面では反射的に緊張をしてしまうのではないかと疑問が残ってします。
論文を詳しく調べると、ブロックの解除方法については、この記事に書いている以上には載っていないです。
結果をみると、今回の事例は下のような図の結果になっています。
結果を見ると、最終的には非吃音者と同レベル、またはそれ以上の流暢性を獲得していることがわかります。
ここからわかることは、「意識して流暢性を保持し続ける」ということを繰り返して、無意識にできるまでただ繰り返せば、非吃音者と同レベルの流暢性が獲得できるという結論になっている。