今回の事例はビデオによるセルフモデリングの事例になります。参考にした論文はこちら。
ビデオセルフモデリングとは、自分で話している場面を動画で撮影して、流暢に話せている部分だけの抜き出して、繰り返し視聴するというものです。
このビデオセルフモデリングで吃音が改善できるという理由として下記の理由があります。
海外ではこのビデオセルフモデリング(VSM)を実施する際に、対象者に自分の話し方に注意をむけさせ、また実際に映像のように話すようにと教示を行うことで発話症状が改善していることが報告されています。
今回は初めからVSMを取り入れたのではなく、初めに流暢性発話スキルを獲得して、その後にVSMを導入しています。下の図を見てもらうと訓練の経過がわかりやすいです。(図をタップすると拡大できます。)
訓練経過を箇条書きで補足しておきます。
VSMを導入した手順について紹介します。
上の図で注意すべきポイントは「VSM視聴時の感情」です。一度、VSMを再導入しています。これは1度目の完成されたビデオを見たときに「嫌」という感情が大きかったので、作り直しになっています。
「恥ずかしい」という感情はもちろんあると思います。その感情ではなく、「吃音症状がでている自分が嫌」という感情になるのはNGです。こうなると、マイナスの印象を与えてしまうので吃音症状が強くなる可能性があります。
ビデオを見たときの印象としては、「意外と上手く話せているな」と感じて自己肯定感が増す状態が最適です。
VSMを導入した結果が下の図にようになっています。
※VSM-Pre:VSM導入前(訓練開始から4か月後)、VSM-Post:VSM導入後(訓練開始から8か月後)
この論文に書かれている考察に参考になるポイントがあったので紹介します。自分に話しているビデオを作成するときには以下の点を考慮しないといけません。
この5点を評価したうえで視聴する映像を決定しないといけません。